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2024/08/26 17:42




前回の土の誕生に続き、今回は土の中に生きる小さな命の大きな力について紹介します。
数千~数万年、時には数億年以上…そんな気の遠くなるような時間を経て生まれた土の中は、生命の宝庫です。
その中で、あまりフォーカスされない存在でありながら、重要な役割を担っているのがミミズ。
「ミミズが好き」という方は多くはないかと思いますが、古代エジプトでは土を肥やす神の使いとされていました。
その理由にもつながる、ミミズの働きとは。

ミミズは体そのものが腸で、一日に体重以上の餌を食べます。餌となるものは、植物が枯れて分解した腐植と土。その土壌粒子がミミズの腸内の粘液によってくっつき、ころころした団子状の塊となって排出されます。このミミズ糞の塊にはスポンジのように多数の小さな穴があいています。
この小さな穴と、耕すようなミミズの動きが、土がフカフカな状態の「団粒構造」を作り出しています。
「団粒構造」とは、土のすき間ができている状態。透水性・通気性・保水性が高い、健康な土の構造です。


ギチギチに固まっている土というのは、粒同士に目詰まりが起きていて表面が乾燥してしまっている状態です。
植物が水を吸い上げられず、深く根を張れないので養分・水が土の深い部分にまで行き渡らず、地表を流れてしまうので微生物やミミズなど生物が生息しにくい痩せた土になってしまうのです。
土の中にすき間ができていると、水が土の中深くまで浸透しやすく、すき間にも水を貯められるので保水性が高まります。
また、通気性も高まり土の中の空気と水の流れがスムーズになって土の中の代謝が活性化されるので、生物が生き生きと生息する健康な土となるのです。
ミミズが糞をするという、単純で絶えず繰り返されている働きが、肥沃な土づくりにこんなにも大きく貢献しているなんて。普段、なかなか触れることのない土の世界、土に生きる命の恩恵をあらためて感じます。

『種の起源』の著者、ダーウィンは最後の著書『ミミズと土』でこう述べています。
「ミミズとは、黙々と活動し、ついには巨石をも地下に埋める能力のある、まれな生き物である」
…おそるべし、ミミズ!

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