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2024/05/02 14:34

土づくりから畝立て、そして種を蒔き、苗を植え付け、生長を待つ時期。

無事に育ってくれるよう、つい水をたっぷりと与えてあげたくなりますよね。しかし「種を蒔いたら(苗を植えたら)すぐ水やり」は勘違いかもしれません。
今回は、畑での種まき後、定植後の水やりについてご紹介します。



「種蒔きと水やりはセット」?


「種蒔きと水やりはセット」という先入観を持っている方も多いかもしれませんが、プランターならまだしも、畑では、基本的に種蒔き後、定植後の水やりはやりすぎない方がいいようです。
表面的には乾いているように見える土も、土には保水性があり、深いところでは十分な水分を保持していることが多いのです。
もちろん野菜の成長には水が必要ですが、常に土を潤滑にしていればいいわけではありません。水分が多すぎると根腐れを起こしますし、たとえ乾燥していたとしても、水やりでは雨とは違って表面ばかり水分補給され、野菜の根がその表面にしか伸ばさなくなるからです。土の表面が乾くとすぐしおれてしまうのでまた水やり…という悪循環が起きてしまいます。

根を伸ばさないことのリスク


また、野菜の苗は植え付けた時が最も病原菌の感染リスクが高くなるタイミングです。
苗を植え付けた後水やりを行うと、苗は根を伸ばそうとしなくなり、その間に病原菌の侵入を許してしまう可能性があるからです。
野菜の根の先端には「根冠(こんかん)」と呼ばれるヘルメットのような組織があり、粘液を出して根の生長点を保護しながら土の中を進んでいきます。粘液の中には色々な根面微生物がひそんでいて、外部から侵入しようとする病原菌を排除します。
苗の植え付けにおいて「発根」はとても大切で、スムーズに根を活着させる(=病気が出ない苗)ためにには水やりはしない方が良いのです。

光合成の力


野菜は光合成によって養分を作り出し、株を大きくします。光合成は光エネルギーにより、根から水を吸い上げ、葉から二酸化炭素を取り組むことで行われます。つまり根を強く深く育てることが強い野菜を育てることに繋がるのです。

雑草から学ぶメリハリ


雑草は誰も水やりしなくても元気に育ちます。これはつまり雨からの水分だけで発芽し、立派に育っているということ。野菜の種も、雨を待つことができます。降る時はドッと降り、数日降らない、というようなメリハリが実は大事だったりします。雨が降らない乾燥した時に、野菜は水分を探すために根をたくさん伸ばすのです。
地中40~50㎝ほどの深い層は保水力が高いので、この深い層までしっかりと根を張ろうとします。そうすると株自体が強くなり、養分もたくさん作り出すのでよく生長します。

細やかな観察が大切


ただし、状況や土の性質によっては水やりをした方が良い場合もあります。気温が高い時期は土の中も乾燥しがちだったり、土の性質、環境でも乾燥の具合は大きく変わります。
また、生育時期によっても水分量は変えていく必要があります。特に種ではなく苗を畑に植え付ける前は畑・ポット共に水をたっぷりあげます。ポット内では根がまだ繊細なので、植え付け後その根が土に定着するまでは十分に観察し、水分調整を細やかに行います。
雨が降った直前直後など、その時の土の状況をみて調整することも大切です。
土壌水分計という土の水分量を量る測定器もありますが、まずは水やりをすることで土壌がどのように変化するのか、種まき後の生長がどう変化するのかをよく観察しながら育てていくことが大切ですね。

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