blog

2024/04/22 09:56




お米を作る過程で産業廃棄物として排出されるもみ殻。
実は貴重な土壌改良剤になるってご存じでしょうか?
あまりなじみのない「くん炭」という名前。今回はこのくん炭についてご紹介します。

くん炭は、もみ殻(お米を精米する時に取れる外側の皮)や木くずを、400度以下の低温でじっくりと蒸し焼きにして作ります。
焼かれることにより、腐生性微生物の餌となる有機物を一切含まず、細菌やカビの繁殖を抑えることができるほか、保水性・排水性・通気性の向上や消臭効果など様々なメリットがあり、農業や家庭菜園で、土壌改良剤として大活躍します。

くん炭は土壌成分に近いケイ酸や、植物の三大構成素の一つである炭素を約90%以上含みます。栄養価が高い一方、窒素成分は1%にも満たないので、他の肥料と化学反応を起こす心配もありません。
また、重量は一般的な土の約10分の1程度と軽量で、女性でも扱いやすい特徴があります。
そんな「くん炭」には、具体的にどのような効果があるのでしょうか。

■土壌改良効果
くん炭を散布することで、土の保水性・排水性・通気性の向上のほか、保肥性も高めるという効果が期待できます。くん炭は多孔質であるため、無数の小さな穴に酸素や水分、栄養分をためることができるのです。

■土壌微生物が活性化する
植物や土にプラスに働きかける土壌菌は、くん炭が作り出す通気性や保水性のバランスの良い環境や、くん炭の多孔質な構造を好みます。
微生物が増えると、団粒構造という栽培に適した土壌環境になるほか、センチュウや有害微生物の繁殖を抑えられるため、根腐れや連作障害の抑制にもつながります。

■酸性に傾いた土壌の中和
火山灰が多い日本は、畑の土も多くの植物が苦手な酸性に傾きがちなのだそうです。くん炭に含まれる炭酸カリウムや炭酸ナトリウムは、水に溶けると強いアルカリ性になります。この性質を活かして畑の酸度を中和し、植物が育ちやすい環境を作ります。

■畑の消臭効果を高める
表面の無数の穴に臭いの成分が付着することで消臭効果が生まれます。

■微量要素が植物を丈夫にする
くん炭にはケイ素が豊富に含まれています。ケイ酸は植物が必要とする微量要素の一つで、根・茎・葉を硬く丈夫にする効果があります。

■地温保温効果
くん炭自体が黒色のため、散布すると太陽光を集めて地温を上昇、保温させる効果があります。特に冬の栽培では雪を解かすほどの効果があり、寒さや霜に弱い作物の栽培には特に効果的です。

■害虫の忌避が期待できる
ネキリムシやコガネムシの幼虫は有機物の分散臭に誘引されるため、腐敗を抑えるくん炭には害虫忌避効果があります。

■発芽率の向上に役立つ
長ネギ、タマネギなど嫌光性種子の苗床の表面にくん炭を散布すると発芽率が向上します。

土び配合させるくん炭の割合は1割程度。わずかに混ぜたり散布するだけで土に様々な効果を発揮してくれます。
化学資材を一切使わない安全な土壌改良資材「くん炭」。
産業廃棄物として出るもみ殻が、土を豊かにする優秀な資材に生まれ変わるのです。

blog Top