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2024/02/01 09:00

前回までお伝えしてまいりました様々な支援、ここに決して外せない存在があります。
この取り組みを現地で共にしてくださっている、特定非営利活動法人AMDA社会開発機構(アムダマインズ)です。
現地で輸出のバックアップする業務を平林金属よりアムダマインズへ依頼、共にネパールの海外出稼ぎや観光業に依存する社会からの脱却、自立した生活を下支えできるようにと、昨年6月に締結しました。

アムダマインズは、人づくり村づくりを通じ、世界の貧困地域において暮らしの改善に取り組んでる認定NPO法人です。現在、アジア・アフリカ・中南米の8か国(ミャンマー・ネパール・インドネシア・マダガスカル・ザンビア・ニジェール・エジプト・ホンジュラス)において、約80名のスタッフが、保健、教育、生計向上などSDGs達成に向けた社会開発プロジェクトに携わっています。
その中でも、長年ネパールで彼らと生活を共にし、サポートを続けていらっしゃる、アムダマインズスタッフのひとり、小林麻衣子さん(上部写真左)は、今回のプロジェクトにおいて特に重要な存在となっています。

現在支援しているこのプロジェクトは、アムダマインズの小林さんがずっとされてきたことから続いているのです。
アムダマインズがこの地域の生活環境の向上を目的とした事業を2014年から開始、商材調査、活動計画…と進め、いざ始まるというところで2015年4月、大地震が発生し、9割もの家屋が損壊、倒壊してしまいました。現地のおばあちゃんたちが家を家を失って途方に暮れているところに小林さんはとどまり、寝食を共にしました。他のスタッフと雑魚寝で一ヵ月くらい泊まり、川の水で沐浴しました。被災した地域の人たちの暮らしを復興するために何をしたらよいのか、地域の人たちと一緒に考えたのです。

その時何を考えたかというと、「これまでと同じようにトウモロコシや豆などの自給自足物を育てていても、暮らしはよくならない。市場で売ることに焦点を当てて、ブロッコリーやトマト、キュウリなど新しい換金作物の栽培に取り組もう」ということでした。プロジェクトを通じて、集落ごとに農業グループができ、集落で栽培した作物を市場に売って収益を上げる経験を積むことができました。
しかし、いくつかのグループから、「もっと換金性が高い作物を作って、農業でしっかり暮らしを立てていきたい」という声が出て、何ができるかみんなで話し合ったり、他の地域にあるコーヒー農園を視察に行ったりして、コーヒーをやろう、そう考えるようになりました。
プロジェクトの最終年に、アムダマインズが約1,000本のコーヒーの苗を支援して、その後、村の人たちが自分たちの資金を出し合って、ある集落をコーヒー農園として企業化しました。それが、今回水牛の購入をサポートした農園です。

小林さんは、震災からの復興を共に歩んできたこの地域、ここの人たちに思い入れがあって、プロジェクトが終わっても、プロジェクトで力をつけた村の人たちの自立と、継続した生活の安定につなげていきたいと思っていました。外務省からの資金を使った5年半のプロジェクトは、2019年に終わりました。非営利団体であるNGOが活動を継続するには、基本的には国の資金(ODA)への申請が必要です。しかし、国の資金では同じ地域で長期間事業を続けるのは難しいのです。小林さんは、ネパール国内でNGOとしての事業を他の地域で実施しながら、引き続きコーヒー農園に寄り添い、いつの日かネパールのコーヒーが世界から認められることを願っています。



「プロジェクトを実施している以上、『〇人が野菜を売る』『現金収入が〇〇ルピー向上』といった数量的な成果目標を掲げた上で、それらを達成することが現地の人たちはもちろん、それを支える私たち自身の成長の証になるのですが、それ以上に、こうした数値には表れない一人ひとりの物語を聞くことができ、その変化を身近に感じられることこそが、この仕事を続けていることで得られる最大の喜びなのだと思っています。そして、それらが私の人生を豊かにしてくれていることは、言うまでもありません。これからも。『見続けているからこそ伝えられること』を大切にしていきたいと思っています。」
そう語る小林さんの現地レポートは、アムダマインズホームページより日々更新されています。



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