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2024/01/29 10:15

前回に続き、もう少しラマ・オーガニック農園についてお伝えします。
ラマ・オーガニック農園のビルドスさんは奥さんと二人、日々実験しながら、ああでもないこうでもないと新しいことに取り組んでいます。はじまりは23年ほど前。生計向上支援という形で、スイスの団体が新たな作物を収穫してはどうかとコーヒーの苗木をこの地域に配ったことがありました。ネパールの人は皆、真面目なのでそれを植えて育てましたが、そこからどうしたらいいかの指導はなく、コーヒーも飲んだこともないしどこかで買ってくれる話もない、海外にもっていく方法もわからない…と、次第に皆ばからしいって言って、木を切り倒してしまったそうです。
そんな中、ビルドスさんはずっと育て続けました。その理由は「美味しかった」という記憶。彼は、10代のころに出稼ぎで行った南インドでコーヒーを飲んだことがあって、それがとても美味しかったのだそうです。
それで、変わっていると言われながら頑張ってコーヒー栽培をしてきて、それがつながり実になって、今、ビルドスさんのおかげで生活を支えられている人たちがいます。彼自身が育てているのは約500本、それを増やすつもりはなく、そのかわり苗木を1万本くらい育てて、近辺で生活に困っている人や自立できない農家、トウモロコシなどの農家に差し上げています。さらには今まで彼が一生懸命にやってきた栽培方法やノウハウを無償で提供しています。栽培農家をまわりに増やしていって、自分たちだけじゃなく皆が家族で一緒に暮らせるようにしたいと思っています。



水牛を支援


今回、ビルドスさんが作ったパーチメント850㎏を生豆500㎏にした、その全部を弊社平林金属が輸入しました。それがどのくらいの経済効果をもたらすかというと、働き手30人(その中には常時ではなく作付が終わった後の土の掘り起こしや苗木の株分けをする時だけなどの日雇いスタッフも含める)、その家族入れて約150人に作業に応じた収入機会が生まれるということ。今後、彼らが育てた豆が増えていっても可能な限り平林金属が支えたいと伝えています。彼らにとって一番困るのは、売り先がないこと、買い叩かれることです。売り先が自分たちのことをきちんとよく理解してくれて、全部買うと言ってくれているということは、それによって2年後3年後の苗の植え方に安心感が全然違ってくるし、質の高いものを作るモチベーションに繋がるということです。買ってくれると言われることは、事業をやるときに本当に始めやすい力になります。
彼らは恩着せがましいことも言わないし、情けないことも言わないし、ちゃんと自分のことを理解しているし、何を期待されているかを知っていて、美味しいものへ追求する姿勢を持っていて、もちろん無駄なお金だとか贅沢も言いません。でも現状は、私たちにまだまだできること、必要なことがたくさんあると考えます。

その中でも、彼らが一番必要としていたのは水牛でした。水牛の糞から作る堆肥が足りていなかったのです。完全有機栽培で生産しているのですが、堆肥を町で購入して山道を運び上るのは、物理的にも経済的にもかなり負担になってきます。農園で自給できることが理想なのです。
そこで平林金属は、現在支援している新しい農園に、牛10頭分、一頭18万円なので180万円、経費含めて250万円を今回送金しました。
※追記 現在、6月に到着した2頭と合わせ、全12頭がネパールコーヒー農園で活躍をしています。これによりコーヒー栽培の質を高めるために必要な堆肥を、現地で調達することが可能となります。



また、小さな苗木(約25㎝)を1,500本植えました。大きくなると4トンくらい収穫できる農園になります。実現まで、3年を目途にしています。
どれも信頼関係なくしては実現は難しいプロジェクトでした。

どうしても、支援を実施している中で数値的な成果は分かりやすく、提示することはとても大切なことではありますが、それ以上に、こうした数値には表れない、ビルドスさんの思いや関わるすべてのひとの努力、試行錯誤したり共に泣いたり笑ったりという一人ひとりの物語を知ること、伝えることも私たちは大切にしていきたいと考えています。
互いに敬意を持って深く心通わせることこそ、彼らにとって一番の強い支えとなるのではないでしょうか。

次回、この支援には欠かすことのできない大きな存在、アムダマインズについてお伝えします。





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