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2023/06/08 14:15

画家、竹久夢二の生家がある、瀬戸内邑久町。山や海に囲まれた穏やかな気候の小さな町で1976年から岡山の旬のくだものを作り続ける、内田さんを訪ねてきました。
梅雨前の、キラキラと光が射す葡萄栽培のハウス。入らせていただくと、一面鮮やかな緑の天井が目に飛び込んできました。ちょうど、葡萄の実がこれから大きくなっていくという時で、摘果や芽・葉を調整しながら間引いていく作業をされていました。
ご夫婦二人で毎日、その緑の天井を見上げ成長に寄り添って栽培されています。
科学肥料を極力使わず、微生物で発酵させた有機物を使ってくだものを栽培し、除草剤も使わずすべて手作業で雑草を取り除くなど、多くの時間や労力を惜しまずに自然と向き合っていらっしゃる内田さんご夫婦。そのこだわりの葡萄づくりについて、お話を伺いました。



ー山や海に囲まれた素敵な農園ですね。
「葡萄づくりに適した立地です。「晴れの国岡山」いうぐらい気候が穏やかで、水はけのいい標高です。海からある程度塩分も飛んできます。

ー農園の始まりはいつからでしょうか?
「最初のハウスはもう40年以上前です。昭和52年?54年?そのくらいからです。もともと国の農業構造改善事業で五人で始めて、先ほど入っていただいたハウスが僕が最初に始めたところです。ハウスは全部で今三つ。今いるこのハウスは市議会議員されていた方ができなくなって引き継ぎました。一番向こうのハウスは、去年高齢でやめることになった人から「代わりにやってくれぃ」って、譲り受けました。夫婦二人でやっていて、今は同級生に手伝ってもらっています。他にも何人か手伝いを探して~と頼んでいるところです。

ー拝見すると一面、顔の少し高い位置に葡萄の枝が広がっています。見上げる体勢での長時間作業を毎日されるのは負担が大きいのではないでしょうか?
「高さは固定していて変えられないんです。毎日堆肥などをやるからか、だんだんと土が盛り上がってきて、天井は低くなってきていますね。さっきのところよりもこっちの地面の方が低いでしょう。こっちよりも向こうの方がやっぱり堆肥が多く入っているんです。土も変わってくるんですね。生えてくる雑草の種類も違ってきます。」




ー創業当時から現在の農法なのでしょうか?わのくに菌はいつ頃から取り入れていらっしゃるのでしょうか?きっかけなどもお聞かせください。
「創業から様々なことを試行錯誤しながら変えてきました。わのくに菌を取り入れたのは今年で4年目です。きっかけは、友達の親戚が海で塩田と太陽光パネルの会社をやっていて、その方のご紹介で、っていう形です。わのくに菌を入れて品質を上げていくことと、葡萄とか桃って、今までどうしても農薬使うことが多かったので、そういうのをなんとか除去した形で安心安全を届けるためにどうするかっていうところで、桃・葡萄は岡山の名産でもあるので色々お話させていただいて…。」

ー「マスカットジパングは栽培が難しい」といわれていますが、その上新しい農法を加えて…となるとリスクを感じたりはしなかったのでしょうか?新しいことを取り入れるのは勇気がいるというか…。
「新しいことを取り入れるのが好きなんですよ(笑)。今までもそれでいっぱい失敗して(笑)迷惑かけたんです。

ーその追求のお気持ちこそがこのわのくに菌との出会いに繋がったんですね。今まで成功している品種に少しずつ試そうか、という形だったらわかるんですけど…
「それが、前から入れている違う菌があったんです。木村三千男式有機発酵肥料というものです。それでは残留農薬ゼロにはならなかったんです。わのくに菌を使えば残留農薬ゼロになると聞いて、「やってみよう」と。でも正直言って、ほとんど疑っていました(笑)。





ーズコー!「木村三千男式有機発酵肥料」とはどのようなものですか?検索したのですが情報が出てこなくて…
「そうでしょうね。木村さんていう方はもともとパイロットされとった方で、まぁ色んな人脈があって、その菌を持ってらして。それより前に紹介された肥料があって、今から考えれば無茶苦茶なんですけど、「これはいっぱい入れてもいいよ」って言われたんで、いい葡萄を作りたいがためにいっぱい入れたんです。そしたら弊害が出て、これをなんとか解消するいい方法ないかなぁと色んな人に話をしてたんです。そしたら同級生が「こういういい人おるんじゃけど」言うていっぺん会うてみいやぁ言うんで、その木村さんを紹介されて、で菌を作り始めたんです。それでだんだんと解消の方向には向かっていきました。

ーわのくに菌との違いはありますか?
「わのくに菌はその上で取り入れたんです。残留農薬ゼロと聞いたんで。木村さんの菌は、寒い時によく働く菌なんです。わのくに菌はsたたかい時によく働くというんで、相乗効果もあるし、いいんじゃないかな言うんで、今は並行して入れています。ぼかし肥料を作る冬場は木村さんの菌を使うのがちょうどいい。夏は残留農薬ゼロにするわのくに菌…と、そういう使い分けをしています。
お聞きしたら、菌同士は喧嘩しないようになっていると。ならちょうどいいなって。」

ー他になにか試されてきてこれが良かったというようなこだわりや土づくりの秘訣はありますか?
「もう除草剤は何年も使わず手で草むしりしています。肥料は、かつては化学肥料を使っていたんですけど、自分がそれで『十分美味しい』って自負があったんです。でも木村さんに食べてもらったら、『これは硝酸態窒素の味がするなぁ』って言われたんです。ということは化学肥料の味だと。それがそれまで分からなかったんですけど、色々話をしたり食べてみたりするうちにこういうことかと分かってきて、自分で有機物を配合して木村さんの菌で発酵して…と試行錯誤がありました。子どもや孫にも安心して食べさせられる葡萄、安心を届けたいっていうところもこだわりの理由です。」



「奇跡の葡萄」マスカットジパング

ーマスカットジパングは「奇跡の葡萄」といわれていますが、その所以はなんでしょうか。
「しれはもう美味しさと見た目の美しさです。他の葡萄とは全然違います。」
ー栽培が難しくきめ細やかな技術が必要な品種とのことですが、課題や技術についてお聞かせください。
「皮が薄くて『裂果』言うて途中で割れたりするから、他の品種とは管理の仕方が違うんです。その難しさと、あと輸送がまた難しいんです。皮が柔らかくて重たいから、箱に入れた時に自重でつぶれてしまったりなどの問題もあって。苗木自体も岡山県内でしか流通できない品種ということもあって、また栽培されている方が少ないんです。」

ー内田さんはマスカットジパングの栽培ははじめられてどのくらいですか?
「もう七年です。だんだんわかりつつあるのかなぁというところで、日々問題はありますけど、技術的にも安定してきてなんとかやっていけるまできました。」

ー他の農家さんの「マスカットジパング」にはない、内田さんのこだわりの農法ならではの特化した美味しさがあると伺いました。甘みがまろやかでやさしいと。
「やっぱり残留農薬ゼロということの意味が大きいです。『奇跡のリンゴ』の木村さんじゃないけど、ひとが本当に手をかけてあげないと難しいこと、それが極上の美味しさを生み出したと思います。
うちの一番の特長は、良質な土壌と有機物を原料にした肥料のおかげで『まろやかでやさしい甘さ』がほんのりといつまでも続くことなんです。化学肥料を使って作った葡萄は食べた瞬間ははっきりとした甘さなんですけど、刺すような感じだったり、後味が変だったり、やっぱり違うんです。今まで食べた葡萄でも、このマスカットジパングは特別に美味しいです。岡山の誇り高いブランドです。」




最後に、奥様の晴美さんがマスカットジパングへの思いを綴った詩に曲をつけた園歌、「よっちゃんとはるちゃんの歌」を聴かせてくださいました。お二人の歩みと、お子さんを育てるように大切に、ひとつひとつ成長を喜びながらくだものを栽培されるお姿が目に浮かぶようで、心に沁み入る歌に感動しました。
一粒が大きく、口の中にほおばった瞬間に口の中がみずみずしい葡萄の果汁でいっぱいになり、そのまろやかでやさしい甘みの余韻の中で次の一粒をいただくと、ひと口目よりもさらに深い味わいに出会うことができる「内田さんのマスカットジパング」。
早く皆様のもとへお届けできますよう、楽しみにしています。

インスタグラムでも、引き続き内田さんのマスカットジパングレポートをお届けしていきます。そちらもぜひお楽しみいただけたら嬉しいです。




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