2023/03/28 22:58

前回ご紹介した、宮崎県綾町
40年間町ぐるみでの有機農業の振興によって必然的に土の中の微生物が死なずに増え、本当に美味しく安心な野菜が育つ土壌ができているというお話に続き、今回はその唯一無二の土について、深く掘り下げていきます。
微生物が多いとなぜ良い土になるのか
良い土を作るには、微生物を増やすことが重要です。なぜかというと、微生物を中心とした様々な生物の活動によって、農作物が育つために必要な栄養分が作りだされ、それが肥料の役割をするからです。
微生物が多い土 = 栄養豊富な土 = 肥えた土・良い土
という公式が成り立つので、良い土を作るには、微生物を増やすことが重要です。土の中で、微生物からはミネラルを、野菜からは二酸化炭素をトレードしているのです。その相乗効果でどちらも量が増えていきます。栽培期間中の農薬・化学肥料・除草剤不使用を徹底したことともう一つ、『循環』を大切にしていることが大きく関わっていると考えます。
町内から出る生ゴミ、完熟させた家畜の牛糞などを土に還すことで、土の中で微生物や土の栄養に変える。その繰り返しによって、微生物がさらに増えるのです。北野さんの畑の土と日本全国14ヶ所の土を採取し、微生物量、二酸化炭素量を調査・比較したところ、どちらも圧倒的に多いことが分かりました。一般的に生息する微生物量の倍以上の微生物が生きているという結果が出ました。さらには、微生物の多様性も多いことが分かっています。
では、「微生物の多様性」は土にどのような影響を与えるのでしょうか。
土壌微生物は、自ら相手の微生物の生育を阻害する物質を生成し、スペースを取り合ったり、エサを奪い合ったりしながら拮抗します。一方、お互いに依存するものもあり、増減を繰り返すことで種類と個体数のバランスを保っています。多様性、バランスが崩れた土壌は、植物の病害や生育不良を招きます。多様性を保つことは、良好な生育環境をつくる上でとても大切なことです。
土は私たちの体内と同じ
これは、私たち人間の腸内細菌も同様で、体内の菌やミネラルなど、多様性・バランスが保たれることで健康が維持されているのですが、実は人の腸内菌の7割を占める日和見菌の多くが土壌菌(土壌微生物)であるということも最近の研究で証明されています。
土と人。私たちも自然の一部なのだという証です。

無駄なことにこそ価値がある
北野さんは、初代からはじめた有機農法を受け継ぎ、現在3代目です。その間大事にされてきたことは、とにかく40年かけてつくってきた先代からの土を壊さないよう守り、受け継ぐこと。農薬・化学肥料を使用せず栽培することはもちろん、除草剤も使わず、すべて地元のおばちゃんたちに草むしりをしてもらったりと、大変な作業の連続です。
「無駄なことに価値がでてくると思っています」と話す北野さん。
「はるかに楽な除草剤があるけれど、それ以上に守ることがいっぱいあります。私たちの代だけで農業を終わらせるのではなく、100年先、1000年先のことを考えてやることに僕は価値がある、かっこいいなと思っています。」
次回、北野さんの想いを深堀りしていこうと思います。
